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現在位置はウテルスホールの中のコラムの中のクモの巣

クモの巣

すっかり冬の寒さも過ぎ去り、春の香りのする季節になりました。本当に寒かったのかしら?と自分の感覚と記憶を疑うほどです。この時、私は過ぎ去った冬の寒さを感じます。それは、通りすぎた道を振り返る瞬間のような感覚です。五感プラス何かが脳に働きかけているようです。その感覚に、なんとも言えない懐かしさと愛着が湧くのがわかります。
過ぎさった時、終わった時、後ろ姿、背中、後ろ足。振り返る事は、今を0とするとマイナスですか?これからする事、起こる事、前姿、前足。これから先の事は、今を0とするとプラスですか。過去、現在、未来。なぜか、未来に希望を感じ、過去を振り返る事にネガテイブな感覚があります。けれども実際は、何にもないのかもしれません。過去と未来。勝手に、自分で決めただけで、別に何もないのかもしれません。大草原に、イヤ、大宇宙にポツンと一人。ただ、何もない無限な時空の中を、どこともなく方向性を持って歩いているふりして、どこに行くのでしょうか。前か後ろか、上か下か、左か右か、斜め上でしょうか。確かであるのは、本当は「今」ココだけなのかもしれません。
そういえば、ある夜、帰宅時にドアのノブを開けようとすると、大きな影が映り、ハッとしました。上をみると、一匹の大きなクモが、ドアすれすれに器用にクモの巣を創って住んでいました。いつの間に創ったのでしょうか。縦横無尽に張りつめられたクモの巣は、気持ち悪くて凄い迫力です。何匹か獲物がひっかかっていました。その獲物は、どうやら死んでいるものもあれば、かかったばかりの生き物もあります。まるで、それはクモの巣の生き時刻のようです。そこに住むクモは、その巣にいつ獲物がかかるかわかりませんし、その巣に何が起こるかわかりません。未来予測不可能です。しかし、いつ、どこで獲物がかかっているのかははっきりと認知しているようです。いつ食べるのかはクモの自由。恐ろしい世界です。クモの巣に、「生」を見た気がしました。そんなクモも、ある日、突然姿を消しました。どこに行ったんでしょうか。2週間くらいでしょうか。そのクモは随分長くドアの上に住んでいました。
春は、いろんなことが始まるような新たな気持ちになります。冬眠から冷めた生き物が活動を始め、花が咲き、暖かい風が吹き、いろんな出会いがあります。あのクモもどこかで、新たな春を迎えていることだろうと思います。暫しの冬の間の出会いでした。
2005年3月 By Masako


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